映画:『ホースソルジャー』

時間が空いた時に『アメリカン・スナイパー』という映画を観ようか観まいか迷っている。というのもこの映画は以前見た気がするし、ワンシーンぐらいなら思い出せるのだが、全編通してどういう話だったかまで行くと不明瞭で、あらすじを述べられる自信がないのだ。そんなこともあり、今後は観た映画をここに書いていくことにする。一応ネタバレがある記事の場合はあらかじめデカデカと警告を書いておくつもりなので安心してほしい。

 

 

 ネタバレ注意!!!!!!!!!

 

 

って感じで

ホース・ソルジャー』は 合衆国が9.11直後、タリバーンに向けて最初に行った反撃作戦を指導した男達を描いている。アフガニスタンの地に潜む軍閥のひとつへ接触・支援し、彼らがタリバーンに奪われた都市を奪還するために手助けをする訳だ。邦題にも使われている通り「馬」は本作を通して印象的に用いられているが、作中では手に汗握る高地での銃撃戦に多くの時間を割いているので、戦争映画としても思っていたより見応えがあった。また実話を元に映画化された作品であり、作中で主人公らが支援する反タリバーン軍閥の指導者、ラシッド・ドスタム将軍も後にアフガニスタンの副大統領に就任した実在人物である。一筋縄ではいかないアフガンを象徴するような曲者であるが、それだけに魅力的な描かれ方をしていたのが印象的だ。

とはいえ本作の見どころは何と言ってもクライマックスの騎馬突撃だろう。空爆によって大打撃を受けたタリバーンの要所へなだれ込む騎馬兵士の姿は、煤けたテクニカルや無骨な戦車といった兵器と対比して、さながらナポレオン戦争の騎兵のように美しく描かれている。WW1を始めとする現代戦によって、騎馬戦力の有用性はそれまでの歴史における扱われ方とは比べ物にならないほど低下した。しかし車両やヘリコプターが入れない山岳地帯では今なお軍馬が重用されるという。帝国の墓場と揶揄されるアフガンの荒涼とした大地は、同じく兵器としての価値が失われた馬が駆けるのにいまだ相応しい地なのかもしれない。